アルツハイマーについて紹介します。
厚生省の調査によると、現在、日本には認知症の症状をもつ老人が全体で100万人いると推定されます。そのうち75万人が自宅で介護を受けています。また、老人病院、特別養護朗印ホーム、精神病院などの施設にいるのは、25万人です。このように自宅で介護を受けている認知症老人がほとんどであるのが実情なのです。
今後、この傾向はどうなるかというと、本格的な高齢化社会の到来にともなって、認知症老人の数は、2015人には265万人になると推測されます。そして在宅での認知症老人だけでも180万人に達すると予想されます。急激な増加が予想されるだけに、認知症の原因の解明や、治療方法の確立が一日も早く望まれます。
日本において、老人の認知症の約4分の3は脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症が占めます。残りは一部の変性性疾患、感染症、内分泌代謝疾患、頭部外傷などによるものです。認知症のなかには、内科的治療や脳外科手術で治るものも一部にあります。しかし原因が不明であるアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症の場合、治療は困難です。
ただ、最近の研究から、アルツハイマー型認知症の原因に遺伝子の異常が関係していることが明らかにされました・アルツハイマー型認知症患者の脳に沈着する異常な色素たんぱくが、21番目の染色体のうえにあることがわかったのです。なんらかのきっかけでこの遺伝子が作動し始めることが充分に考えられます。
認知症の原因はさまざまな角度から追究されています。原因が解明され、有効な薬が開発されるのもそれほど遠い未来ではないでしょう。
アルツハイマー型認知症をはじめとする認知症の中核症状は、知的機能の障害です。知的機能障害を改善させることは困難であるのが実状です。しかし、脳の老化が少しでも遅くなることを期待して、脳代謝改善薬を長期的に投与する治療法がとられます。また、これに併用して脳循環改善薬や抗血小板薬を用い、脳血管障害がこれ以上すすまないようにします。
また、認知症には知的機能障害以外にも、意欲減退やうつ状態、行動異常などの認知症に伴っておこる症状があります。これらの症状を改善するために、抗うつ薬、抗不安薬、向精神薬を用いることもあります。
アルツハイマー型認知症をはじめとする認知症の知的機能を改善することはできなくても、副次的な症状の一部を改善することで、人間らしい生き方ができるようになります。これはご本人だけでなく、ご家族の方々にとっても必要なことであり、意義のあることです。
アルツハイマー型認知症は、いつ始まったのかわからないままに発症し、徐々に進行していきます。一方、脳血管性認知症は、アルツハイマー型に比べると急速に発症するのが特徴です。特に脳出血や脳梗塞などの、脳血管障害の発作をきっかけとして症状が現れることが多いように思われます。
アルツハイマー型も脳血管性認知症の場合も、進行性です。したがって早期発見につとめ、進行を防止することが重要な課題となります。そのためにはご家族の方々をはじめ、周囲の協力が非常に大切になります。