薬の開発

リハビリテーション

 アルツハイマー型認知症をはじめとする、老人期の認知症をもつご老人をかかえたご家庭では、看護に大変な労力を要します。しかし看護のよしあしがご本人の予後に大きく関係してきますので、できるだけのことはしてさしあげたいと思いますし、配慮することは大切です。ご本人が生きがいをもって行き続けられる生活環境を整えてさせあげたいものです。認知症の症状が進行すると、寝たきりになったり、失禁を起こしたりします。身辺を清潔に保つよう配慮するとともに、知的な刺激を与えることは効果的なリハビリになります。ご家族や地域の人がリハビリテーションの正しい知識をもち、実行していくことが大切になります。

 リハビリテーションは、病気の予防、治療とならんで第3の医学といわれるほど重要なものです。老人人口の増加により、リハビリを必要とする人の数は急増しています。そもそもリハビリテーションの目的は、障害を可能な限り克服して、自立と社会復帰を果たすことにあります。単に機能回復訓練や社会復帰のみをさすのではなく、障害をもったために人間らしく生きることを妨げられている人が、再び人間らしく生きる権利を回復することです。リハビリのためにはその目的や正しいやりかたを理解し、こつこつと継続することが大切です。またご本人の意欲と並び、ご家族や地域社会全体で、心身両面からご本人を助け、協力して行くことが大切になります。

 

薬の開発

 アルツハイマー型認知症の場合、原因が解明されていないことから、その症状を改善することは困難です。しかし、数年前から脳の循環や代謝を改善する薬が多数開発され、多くの患者さん方に対して使われるようになってきました。これらの薬は確実な成果をあげつつあります。しかし、認知症の中核症状である知能の低下に対して薬は作用するわけではなく、認知症にともなう譫妄や暴力といった精神症状および行動異常に対して効果的に作用するにすぎません。これらは周辺症状といいます。

 認知症にともなう知能低下を改善する薬は、現在のところ開発されていません。知能低下に対する治療には、脳の神経細胞の再生を促進し、失われた脳の機能を蘇らせる薬を使用することが必要です。または神経と神経の間の情報連絡を活発にして、脳の働きを活性化するような薬が必要なのです。

 最近期待が寄せられている研究は、神経細胞が分裂、増殖するのに必要な因子に関するものです。これを神経成長因子といいます。これが認知症の治療に有効ではないかと考えられるのです。脳の細胞は本来、増殖することはありません。一度死滅すると、二度と再生できないと考えられています。しかしダメージを受けてはいるもののまだ死滅するにはいたっていない神経細胞が回復するのに神経成長因子が有効ではないかと考えられるのです。この研究は、まだ動物実験段階ですが、改善効果があったという報告があります。

 


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